歌詞に対する正当な論評に対して、「名誉毀損」「侮辱罪」とは、呆れて物も言えない。本当ならこんなもの無視するところだが、読者のみなさんに秋元康の思想の本質、そして批評行為を問答無用で黙らせようとするAKSの言論弾圧体質を改めて知ってもらうために、記事というかたちで回答しようと思う。
:
他のメディアはそれで黙らせることができたのかもしれないが、本サイトがこんな「言論の自由」を踏みにじるような要求を呑むはずがない。もし、AKSが名誉毀損訴訟を起こすというなら、堂々と受けて立つつもりだ。そして、公の法廷で積極的に秋元康の歌詞を検証し、それが女性差別、女性蔑視であることを、裁判所に認めさせたいと考えている。
引用:秋元康の歌詞を「女性蔑視」と批判したら、AKB運営から「名誉毀損及び侮辱罪」「記事を削除せよ」の恫喝メールが|LITERA/リテラ
LITERAの記事に対して、AKB運営会社のAKS法務部サイドからクレームが来たそうだ。それに対して、LITERA側は、国連の女性差別撤廃条約や、米女優ディアナ・アグロンの思想や彼女が主演したドラマ「グリー」の内容、これまでの名誉毀損の判例などを引いて徹底的に反論している。
秋元康は顔からして大嫌いだし、当該の楽曲も聴いたことがない。AKBとかHKTとか、奇妙な英略語を用いて、この十数年来、芸能界を汚染している秋元商法には、いい加減うんざりしている。
秋元康は女性差別主義者というよりは、女性差別をも商売のタネにする、その意味では悪魔的なまでの戦略的プロモーターであることは認める。ただ、そのやり方はときに品性を疑うことはある。だいたい「アインシュタインよりディアナ・アグロン」という楽曲のタイトルが変だ。2つの人名は比較すべきものだろうか。アインシュタインの名を知っている女の子が、それでもディアナ・アグロンをと、同じ土俵で選択するものだろうか。タイトルからしてセンスないのだ。まあ、最大限良く言えば、受け狙いがミエミエなのだ。
したがって、秋元が女性差別主義者かどうかはどうでもいいのだが、ただ、ジャーナリズムの「正当な論評」に対してスラップ訴訟をしかけるがごときの、運営会社の恫喝には問題を感じる。
こうなったら互いに本気で裁判をすればいい。
勝手に名前を使われたディアナ・アグロン本人にも、証人出廷か陳述書のオファーを出すつもりだ
と、LITERAも息巻いている。ガンバレ!
熊本地震への対応を協議するNHKの災害対策本部会議で、本部長の籾井勝人会長が原発関連の報道について「住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えてほしい」と話していたことが23日分かった。 関係者によると、会議は熊本地震の取材態勢などを各部局の責任者が報告するもので、理事や局長ら約100人が出席して20日朝に開かれた。最後に発言した籾井氏は、被災地で自衛隊が活動するようになって物資が届くようになったことなども報じるよう求めたという。
引用:地震後の原発報道「公式発表ベースに」 NHK籾井会長:朝日新聞デジタル
原発に関する公式発表とは何をさすのか。政府または電力事業者の発表のことだ。たとえば政府が「ただちに健康に影響はない」と言っても、それをバカのように真に受けるのではなく、その裏を取るのが報道機関の仕事だろう。そして、原発事業者が歴史的にこれまで何度も事故を隠蔽し、虚偽の報告を重ねてきたか、知らないのか。情報源が“公式”のものしかない状態こそが、「住民の不安をいたずらにかき立てる」のだ。
「自衛隊が活動するようになって物資が届くようになった」のはある部分では事実だが、災害救助に力を発揮するのは自衛隊だけではない。籾井の発言からは、報道を自衛隊賛美に向かわせようという誘導が感じられる。
私はかねてから、NHKに受信料を払わずに、それを「国営放送」などと揶揄する人々には、つねに反対してきた。市民がクチを出すだけでなく、カネも出してそれを支えることこそが、公共放送を一部の企業や国家のなすがままにしない唯一の方法だと考えていたからだ。しかしそこの経営トップが、報道に関してこのような認識を示し、それをいつまでも改めることがないのだとすれば、私のほうも考え方を変えなければならないかもしれない。
今日の「つくばね」では、珍しい鯛の真子(卵巣)と肝の甘辛煮をいただいた。真子も肝も微妙にねっとりとして、美味。豆腐を添えてあるのだが、そこに甘辛の醬油の煮汁が浸みこんでいる。
「真子」という言葉が発せられた瞬間、つい「まこ、甘えてばかりでごめんネ」と大将と共に口ずさんでしまうのは、お互い60代であるからだろう。
熊本地震のニュースでさかんに「別府ー島原地溝帯」という言葉が出てくる。
別府-島原地溝帯は、東北東から西南西へ延長約200km、幅20㎞-30kmにわたっている。多くの活火山が分布し、地震活動が活発である。
今回の地震はこの地帯の断層が動くことで引き起こされたものではないか、という。
地質や地震の専門家の間ではもちろんその存在は知られていたし、政府の地震調査研究推進本部の「熊本県」編でも、
陸域の浅いところでこれまでに発生した被害地震は、主に別府−島原地溝帯に沿った地域とその周辺(布田川(ふたがわ)断層帯・日奈久(ひなぐ)断層帯に沿う地域など)で発生しています。
などと自明のことのように語られている。
しかし、私は「別府ー島原地溝帯」という言葉を今回のニュースで初めて知った。知らなかったのは私だけかもしれないけれど。でも、これってそんなに有名だった?
「地溝帯」という言葉で私がまず思い浮かべるのは、「フォッサマグナ」だ。
フォッサマグナは私たちの時代の小学校でも習った。日本を東西に分断する溝のようなものがあると聞いて、子供時代の私は恐怖におののいた。「日本列島はいつかそこからポキッと折れるんじゃないか」と。
命名は明治時代に日本を調査したドイツの地質学者ナウマンによるものだが、このときナウマンが同時に命名した「中央構造線」のほうはなぜか心に響かなかった。東北地方に住んでいた子供だったので、西日本の地理に疎かったのだろう。日本列島を鶏のササミにたとえれば、その身を繊維にそって裂くように走る筋のようなものだ。
「地溝帯」という言葉は最近ではむしろ、アフリカ大陸を南北に縦断する巨大な谷「大地溝帯=グレート・リフト・バレー」のほうが日本人にとって身近かもしれない。なにせNHKあたりの“驚異の自然”的なドキュメンタリー番組の定番でもあるからだ。
しかしながら、地溝帯は海外のミラクルワールドだけにあるのではなく、いまここの日本にも存在しており、もしかしたらあなたはその真上に住んでいるかもしれない。そのことを如実に示したのが今回の熊本地震である。それは驚異ではなく、脅威なのだ、残念ながら。
テレビの地震学者は「別府ー島原地溝帯には九州を南北に引き裂く強い力がたえずかかっており……」などとシレっと語っている。地質学的年代と人類史的年代ではスケールが端から違うのはわかっているつもりだが、
数十万 - 数百万年後には大地溝帯でアフリカ大陸が分裂すると予想されている
てな話もあって、九州だっていつかは2つの島に分裂しないとも限らない。
いずれにしてもそんなところに人が住んでいる。住まざるを得ないのが地震列島=日本の現状だ。建物の耐震化、避難訓練、ライフラインの確保といった防災施策は重要であるが、それでも自然の脅威は人間の想定をはるかに超えてやってくる。その日本列島が、地震学的に活動が活性化する時期に入っているとすれば、地盤が安定していることを前提として作られている人工建築物のリスクはさらに高まっているといわざるをえない。もちろん原子力発電所もその一つだ。
熊本県を震源とする14日夜の地震で、県災害対策本部は15日、県内の死者は9人、重軽傷者は1001人と発表した。佐賀、福岡、宮崎の各県でも計11人が重軽傷を負った。この日も断続的に余震が続く中、熊本県内では一時、約4万4千人が避難所に身を寄せた。気象庁は、週末にかけて熊本県で大雨の可能性があるとして土砂災害への警戒を呼びかけている。
⇒ 田母神俊雄氏を逮捕 地検特捜部、公選法違反の疑い:朝日新聞デジタル:
権威はたいていは化けの皮をかぶっている。選挙で政治家が口にする口当たりのいい言葉も、その背後には、どす黒い権力欲やらカネの腐臭やらが漂っているのは、よくあることだ。この人の場合の「日本を取り戻す」なんていう美辞麗句が、その典型だった。
誰かの権威が失墜したときに、権威をもたない人間が快哉を叫ぶのは、ある種の憂さ晴らしでもある。不正を働く政治家への追求が、たんなる衆愚の憂さ晴らしに終わってはならないが、大衆的な感情が政治を変えるきっかけになることもある。良くも悪くも。
そういえば昨日、都内の有名店にうなぎを食べに行ったのだが、そこの客に、有名なグラフィックデザイナーとその関係者がいた。誰にでも好きなときにうなぎを食う権利はある。たとえ、公的なビックイベントの大会ロゴ・デザインでパクリ疑惑をもたらし、その制定過程を錯綜させ、結果的に貴重な公費と時間を無駄遣いさせた張本人だったとしても。
広告業界やメディア業界の人たちと思しき、ちょっと軽そうな人たちに囲まれて、彼は店の前ではしゃぎながら記念撮影していた。
その集団からは「SNSにばらまくなよ」「また週刊誌に……」というささやきも聞こえた。
座の真ん中でこの人は人気者だった。意外と天真爛漫な人なのかもしれない。けっして傲慢で悪気のある人には見えなかった。虚飾の皮がはがれて、かえって清々しているようにも見えた。
人間の皮ははがれ、その表皮は春霞のように池袋(あっ、言っちゃった)の夜空に舞い散っていたのだけれど、その店の天然うなぎばかりは、皮は香ばしく、身は歯ごたえがあって、嚙めばかむほど美味しかった。
| HOME |
Author: thinmustache(a.k.a. hiropon)
よしなしごとを書き散らかしております。