一見、なんの変哲もないカレーだし、しかもルーが無印良品のキーマカレーレトルトだったりすると、なんて寂しい独身者の晩ご飯ということになるが、実はこれライスが違うのだ。 拡大写真でみるとわかるかもしれない。
日本のコメではなく、インド産の「バスマティ・ライス」。いわゆる長粒種=インディカ米の一種だ。
未明にふと思いたって、Amazonに注文したら午後には届いた。なんでもインドのコメのなかでも香りの高い高級品になるらしい。1kg・1300円はコシヒカリの2倍近くするお値段だが、ま、これも酔狂ということで。
いかにもインドっぽいパッケージを開けると、まるで雪の結晶のような真っ白い小さな粒つぶが現れた。サラサラと指の間からこぼれていく。
炊き方は日本のコメに比べてはるかに簡単だ。最初の水洗いは必要(不要という説もある)だが、米とぎも浸水も要らない。炊飯の方法がいくつかあることをクックパッドや各種ブログで教わったが、今回は初めてということもあり、「湯取り法」と呼ばれるやり方に倣った。沸騰した湯にコメを入れて茹で10分ほど、好みの硬さになったらお湯を捨て、さらに蒸らして出来上がりというもの。蒸らし工程も含めて15分ほどで炊きあがる、というか、煮上がる。
タイのジャスミン・ライスについてだが「パスタのように炊かずに茹でる」と説明するブログもある。 東南アジア旅行ではふつうにインディカ米を食べていたし、タイではこれでタイカレーを食べたことがあるが、日本で炊いて食べるとまた格別の味わいだ。
まず違うのは「パラパラ」という仕上がり感。人によっては「パサパサ」に感じるかもしれないが、カレーなど東南・南アジアの料理にはこれが合う。炒飯やピラフ、パエリアなども本来は、このタイプのコメでつくるのだ。南欧ではコメはサラダ感覚で食べるという話を聞いたことがあるが、ジャポニカ米を想像するから奇異に感じるのであって、インディカ米はまさにサラダ野菜の一種だ。
かつて「外米」の印象を悪くした臭みはまったくなく、茹でている間にはほのかにいい香りがする。日本流の「お米の香り」とは少し違うけれども。嚙めば甘味も広がるが、ただ、ジャポニカ米ほど深い甘味・旨味ではない。むしろカレーでは「嚙む」よりは「飲む」に近い感覚で食べることになる。
暑くて食欲がわかないときは、日本のコメでお茶漬けをつくるより、カレーをインディカ米にかけて食べたほうがよほど食欲が刺激されるのではなかろうか。私は日本のコメがときおり胃に重たく感じることがあるが、インディカ米にはそれが少ない。きっとカロリーもジャポニカに比べ低いのではないか。ダイエットになるかどうかはわからないけれど。
これから炒飯とかピラフとか、サラダとか、他の料理でもつかってみることにしよう。