ひろぽんの小石川日乗 2015〜

還暦を迎えたおじさんが、日々の喜怒哀楽をつづるブログ

超高層という選択

 東京新聞2015/10/09夕刊にJT生命誌研究館館長の中村桂子氏が「超高層という選択」と題して寄稿している。雑誌「ニュートン」(11月号)の特集記事を引きながら、高さ300メートル以上の「スーパートール」、600メートル以上の「メガトール」といった超高層ビルの計画が、アジア、中東、アメリカにあることを指摘。さらに東京湾を埋め立てて、1600メートルもの超高層建築(スカイマイルタワー)を建てるという提案がアメリカからなされていることにも触れている。いずれも技術的には可能らしい。

 だが、中村氏は「経済性からは幅100メートル、高さ400メートルほどが限度とのことなのになぜこれほど高いものを建てようとするのか」と疑問を呈する。

 「ニュートン」の記事の結論は「それは権威や富の象徴になるからだ」というものだったようだが、中村氏が危惧するのは、そうした超高層建築の中で生活する人間、とりわけ子どもたちへの影響だ。

 東京湾岸に並ぶ50階ほどの高層マンションを見ても、そこでは少なくとも生きものとして生きるという感覚を養うのは難しいだろうと思える。……数十年という短期間で、大きく生活を変えることにどこまで責任を持てるのか。その検討はどこでなされているのか。少なくともヨーロッパにはその問いがあり、高層ビルを建てていないのではないだろうか。

 技術的に可能だからといって、環境や生態系、人間の成長に与える影響を無視することはできないのは当たり前だ。その当たり前のことが、国の威信だとか、国家プロジェクトだとか、経済効率性だとかによって無視される。中村氏は言っていないが、原発だってそうだったじゃないか。

技術は技術としてだけ語っていてはいけない。

 中村氏の当たり前のテーゼが、この世界ではときおり、なきがごとしのようになってしまう。

[ 2015/10/09 18:29 ] issues | TB(-) | CM(0)

元日本代表ラガーも新国立に疑義

⇒ 新国立競技場に対する元ラグビー日本代表選手からの批判 - Togetterまとめ:


 えっ、ラグビーの平尾さんが、と思ったら、平尾誠二じゃなくて平尾剛のほうだった。内田樹氏とはお友達みたい。ミシマ社から本出してるんだ。それにしても、辛抱たまらんという感じが良く出ている。


 ちなみに、この前お会いしたラグビーファンの写真家・浅井愼平氏も、(旧)国立競技場のような多目的スタジアムはラグビーには不向きだから、国立でラグビーははみないと。当然ながら新国立をめぐる騒動についても、経済論理だけが優先され、スポーツ文化をないがしろにするものと批判的だった。

 新国立を熱烈に支持する人って、いるんかな。



追記)
有森裕子さんも、「現行案に反対」。

⇒ 止められない巨大アーチ 工法変更、森氏に進言できず:朝日新聞デジタル:

 スポーツ界からも声が上がる。元女子マラソン選手で五輪メダリストの有森裕子さん(48)は、「現行案には反対」との立場だ。取材に対し、「五輪にお金がかかるという批判の矛先がアスリートに向かうのが心配。今のデザインでなければいけない理由を明確にしてほしい」と話した。「選手としては使いやすさが大切で、高級な機能がついていなくてもいい。1千億円でも競技場はできると思う」

2015年7月11日01時12分

 さらに為末さんまでもが...

⇒ 新国立競技場 | 為末大・侍オフィシャルサイト:

 スポーツの国際イベントなんて一年に一回あったらいい方で、それ以外のスポーツイベントでも8万人の競技場を満たすことなんてできません。標準規模の建設費で作り、スポーツは頑張って小さめの赤字、音楽などのイベントで黒字化し、せめて日々の維持費はまかなうというのがよいように思います。どう考えても経済的に負担が大きすぎる競技場を作ることは今の日本の状況から見ても反対です。

2015年7月10日

 いやはやこれは面白くなってきましたな。

[ 2015/07/11 17:43 ] issues | TB(-) | CM(0)

オリックスと東芝

 あえて対照させればだけど、太陽光発電で300億円稼ぎ出し、企業イメージアップのオリックスと、原発事業拡大で大損こいたうえに、利益水増しでブランド失墜した東芝、という構図。


⇒ オリックス、太陽光発電で原発1基分の勝算 :日本経済新聞:

 金融会社のオリックスがエネルギー事業を拡大している。太陽光発電の発電能力は3年後に原子力発電所1基分に相当する90万キロワットとなり、国内最大級の太陽光発電事業者になる。太陽光発電事業の利益は減価償却前で300億円規模で稼ぐようになり、2018年3月期に3000億円まで純利益を引き上げる中期経営計画の大きな柱の一つだ。海外株主が6割を占める同社は個人株主の開拓を進めており、クリーンエネルギーを生み出すという企業イメージは個人株主の開拓も後押ししそうだ。

2015/7/10 5:30

⇒ 東芝前社長「工夫しろ」と指示 不適切会計を誘発か:朝日新聞デジタル:

 佐々木氏はリーマン・ショック後の2009年6月に社長に就任。東芝の09年3月期の営業損益は約2500億円の赤字だった。自身が主導して06年に買収した米原発大手のウェスチングハウスなど原発事業で「15年度に売上高1兆円」という目標を掲げて経営の柱に据えたものの、11年3月の東京電力福島第一原発事故で、目標の撤回に追い込まれた。

2015年7月10日06時42分

[ 2015/07/10 07:31 ] issues | TB(-) | CM(0)

世界遺産登録に浮かれる前に

 昨日のツィートまとめにもあるが、「世界遺産」に関する今のところの私の考え方は、歴史には光と影があり、その双方を記録してこそはじめて人類的遺産になるのではないか、というぐらいのものである。それ以上の深い関心はない。人類の進歩に資するというより、現状では世界のツーリズム産業の発展に資するぐらいのものでしかない、とも考えている。

 とはいうものの、「明治日本の産業革命遺産」登録をめぐる日韓政府のやりとりは気になってはいる。そして、この問題を報道するメディア(ソーシャルメディアを含む)の、「「韓国のいいがかり」とか「外交戦での日本の敗北」とかいう論調には、一抹のいかがわしさも感じている。

 そんなおり、「LITERA」に野尻民夫氏のこんな記事が載った。


#世界遺産「韓国の裏切り」報道は大嘘! 難癖をつけたのは日本政府と安倍首相だった

 世界遺産登録に合意していたはずの韓国が土壇場で反対を表明したのは「裏切り」であるとする報道があるが、それは間違いであるという趣旨の記事である。

 ことの真偽は私にもよくわからない。どっちでもいいという気もする。だが、この記事からはいくつかのことを教えてもらった。例えば──


(朝鮮人徴用について)

日本政府はこれを日本国民に対して行ったのと同じ「徴用」だと言っているが、まったくちがう。日本人には国民徴用令で家族への扶助制度があったが、この徴用制度は1944年まで韓国人には適用されていない。そういう意味では、韓国が「強制労働」の事実があったとするのは当然の主張なのだ。

(時代を限った登録だから韓国の主張に根拠はないという主張について)

また、日本は対象を1850年代から1910年までに限定。朝鮮人徴用とは「時代が違う」と主張しているが、これについても、ポルトガルのユネスコ大使から「遺産群は総体で一つであって、ある時代を切り取ることはできない。全参加国が満足できる結果を待っている」と批判されている。


 私はこの記事の結論部分に大いに賛意を表するものである。というか、これが私が先のツィートで言いたかったことなのだ。


(そもそも世界遺産とは)

各国がそれぞれの国のすばらしいところをアピールするためのものではない。正の面、負の面あわせて世界の歴史に意味のあるものを保存しようという、人類共通の遺産だ。だから、アウシュビッツ強制収容所や、広島の原爆ドームも、また世界文化遺産に登録されている。

産業革命も、産業や経済が発展したという功績がある一方、搾取の構造や悲惨な労働を生んだという負の側面があることは、日本に限らず世界共通の認識だろう。そうした負の側面を認めることは、屈辱でも恥でもない。

[ 2015/07/08 16:09 ] issues | TB(-) | CM(0)

今さら言われても

新国立「無謀」 JSC、1年前に認識 計画修正できず

 新国立競技場(東京都新宿区)の建設問題で、文部科学省から事業を任された日本スポーツ振興センター(JSC)内では少なくとも昨年春の時点で、計画が行き詰まりをみせていたことが、関係者への取材で分かった。下村博文文科相は今年五月に初めて、コストや工期が予定を大幅に超える恐れがあると認めたが、関係者の証言からは、JSCが早くから計画の無謀さに気付きながら軌道修正できなかった様子が浮かぶ。
東京新聞 2015年6月29日 07時31分
[ 2015/06/30 04:42 ] issues | TB(-) | CM(0)

「南軍旗」をめぐる記憶

 
黒人活動家「白人優位を取り除く時だ」 ポールよじ登り「南軍旗」撤去 米南部コロンビア
米南部サウスカロライナ州コロンビアの州議会議事堂脇で27日、南北戦争の南軍旗掲揚に反対する黒人活動家の女がポールをよじ登り、旗を降ろした。女は現場で逮捕され、旗は間もなく再掲揚された。米メディアが伝えた。」(産経ニュース 2015/6/28)
 旗は象徴だ。観念と規律と感情と欲望の、ときには集団の記憶の。人々は旗をまとい、旗を奪う。ときにはこのようにポールをよじのぼり、暴力をもって、そのはためきを止めようとする人もいる。

「これは憎しみの旗ではなく(歴史的)遺産の旗だ」という声もある。だが、歴史を遺産として受け入れるのは、かつてその旗をめぐって血みどろの争いを繰り広げた人々の記憶が平和的に癒されたり、正義の場で償われた場合だけだろう。抗争・対立する諸現実のもとでは、遺産はいまだ生々しい腐臭を漂わせている。

【関連記事】消える米南軍旗 教会乱射事件受け 「黒人差別の象徴」(朝日デジタル 2015/06/26)

[ 2015/06/29 17:32 ] issues | TB(-) | CM(0)

NHK朝ドラ「まれ」の能登弁


「あまちゃん」以来の習慣で、朝ドラ「まれ」もほぼ毎日欠かさず見るようになった(毎日録画の後から視聴だけど)。
 このドラマもまた「あまちゃん」と同様、「現代上京物語」の変奏版である。舞台の一つ、能登地方の「外浦」にある「ムラ」は、若者が少なく祭りも開けなくなった一方で、都会人を驚かせる豊かな地産地消の食材がある。パティシエをめざす「まれ」の鋭敏な味覚はそこに起因するものだと説明される。

 いまどきこんな田舎とはいえ、これほどの原初的な味覚をもつ若者の存在自体が「まれ」なことだと思うのだが、番組設定のあれこれはともかく、私はここで能登弁というのものを初めて耳にしたわけである。けっこう語尾にインパクトのある方言だ。

dot.asahi.comの記事

朝ドラ「まれ」 土屋太鳳・常盤貴子の能登弁を地元はどう見てる?

によれば、
 石川県の方言は関西弁の影響を受けているが、県内の地域差は大きく、特に能登では町が変わると語尾が変わる。『都道府県別 全国方言辞典』(佐藤亮一編、三省堂)によると石川県の方言は、能登半島の付け根あたりから北の能登方言と南の加賀方言に大別され、能登は南側の口能登と北側の奥能登に分かれる。さらに奥能登は富山湾側の内浦と反対側の外浦で異なる。「まれ」の舞台となっている輪島市は外浦にあたる。
 語尾の特徴としては、「や」「げん」「わいね」「け」などが挙げられる。それぞれ「だ」「です」「だよね」「か?」のニュアンスだ。『都道府県別 全国方言辞典』ではイントネーションに文節末で揺れる独特の「ゆすり音調」があるとしている。


実際にあの年代の若者たちが、「げん」「わいね」と話している様子を、ワシも一度ナマで聞いてみたいワイネ。
[ 2015/06/25 17:49 ] issues | TB(-) | CM(0)

森永ヒ素ミルク事件。その後

「森永ヒ素ミルク、896人なお症状 事件から60年」
朝日デジタル 2015.6.22

 まさに私の生まれ年に起きた事件。その後も、森永の対応を不満とする不買運動があったのを記憶している。薬害というのは10年、20年というタームではなく、世代をまたがって続くのだ。
[ 2015/06/22 01:06 ] issues | TB(-) | CM(0)
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